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 FFXI 小説化野望計画。


→ 仲間を常時募集してます!

→ パロディとしてお楽しみいただけます?

→ コンセプト上、ネタバレを多大に含みます。

→ 個人が私的に用いる場合以外の無断転写・複写はご遠慮ください。

→ FFXIに関する会社名・製品名・システム名などは、各社の登録商標、もしくは商標です。


以上をご理解のうえ、お楽しみくださいー<(_ _)>


始まりにはウィンダスを(1)
始まりにはウィンダスを(2)

始まりにはウィンダスを(2)


 想像していたよりも強い光がウカの目を灼いた。足を止めて手をかざすと太陽は真上を目指して空高く昇るところで陽射しは強く、ウカの肌をじりじりと照りつける。
 緩やかなカーブを描いていた門を抜けると、こじんまりとした広場が広がっていた。石畳で作られた門とは違い、柔らかな土の道が敷かれたその先は曲がりくねった細い道がくねくねと続いている。
 もともと山があって、道をくりぬきました、という感じの道で、大人三人も並べば肩がぶつかりそうな狭い道だった。
 ……ここが、ウィンダス連邦。
 そこにはどんなに広い国が広がっているのかと期待していたのに、あるのはその狭い道。
 ウカは嘆息しながら再び歩き出した。
 話に聞いていたのとずいぶん違う。ウィンダスは一番大きな国。自然豊かで不思議が一番多い場所だと。けれど、今見る風景は―――
(―――――っっ!!)
 思わず上げそうになった人には聞かせられないような悲鳴をやっとの事で飲み込んで、飲み込めたことに安堵のため息をつく。
 視界にはいることがなかったので気づかなかったのだが、しっぽの付け根ぐらいの高さしかない人がそこに、小さなからだを精一杯大きくふんぞり返らせて立っていたのだ。
(なんや、タルタルか)
 タルタル。噂には聞いたことのある、小さな人。いや、ここに来るまでだってすれ違ったりすることもあったのだが、すれ違うと言っても距離があったため実際の大きさを体感していなかったのだ。
(こんなにちっこいんか)
 くるり、とまわったら悪戯好きのしっぽが頭にほどよくあたりを食らわせそうな身長しかない。タルタルの子供かとも思ったが着ている服は、国の警備を担うガードのもの。これが、タルタルという民族の一般的な大人の身長なのだろう。本当に小さい。
 じろじろ見過ぎて、逆に不審そうにじろじろ見られてしまい、ウカはごまかすためににっこりと笑った。さっさと踵を返す。
(上ばっかりみてたらあかんな、足下にも気ぃつけな。ここはタルタルの国やさかい、ちっこいんも多いんやろうし)
 それにしても……と、ウカは冷静を装う自分とは裏腹に逆立つしっぽの先をふるふると揺らした。
 このガードの体を並べてみると、目の前の狭いと思った道には5人ほど並びそうだ。タルタルにしてみたらこの細い道も大きい道に入るのかもしれない。
 曲がりくねった道の示す方向に赤い尖塔が見えて、ウカはとりあえずそこを目指して歩くことにした。
 聞いた話よりも、ウィンダスは狭いのかもしれない。
 その考えが、多少ウカの意気込みに水を差した形になった。
 郷愁からくる話は自分を律するよりも大きく、ウカの中に根付いたらしい。人の話は大きくなるものだと、ちゃんと言い聞かせていたのに。
 ウィンダスに対する憧れが、しゅんとしぼんで行くのがわかる。――が、ウィンダスが想像と違っていたのは、ウィンダスのせいではない。おもしろおかしく語って聞かせた荒唐無稽な夢想家と、それを真に受けて期待したウカのせいだ。ウカは軽く頭を振って郷愁を追い出した。代わりにやるべき事を思い出す。
 ウィンダスには、観光するために来たわけじゃない。……来てみたくて、ウィンダスを選らんだけれど、目的は  ――冒険者に、なるため。
 教えてもらったところによると、冒険者になるには星の大樹へ行かないといけないのだという。
 星の大樹の中だ、と、ウカの護衛を引き受けてくれた冒険者は言っていたが、中とはどういう意味なのだろう。訝しるウカに、その冒険者は笑って答えてくれなかったが。
(行けばわかる言うてはったんやし、とりあえず目指すんは星の大樹、やな)
 知らない土地。知らない空気。少し歩くと鼻が知らない風に、湿った匂いをとらえた。
 
 30分ほどかけてゆっくり歩いていると、ようやく建物が見えてきた。
 土を踏み固めた道がとぎれ、木製の橋がかかっている。水の匂いの元になったのだろう、清流に架かるその木製の橋を越えた先に、横長い建物が建っていた。石造りの建物で、目指してきた赤い尖塔は左部分の三階にあたるようだ。
「どーなってんのやろ。これ」
 近づいていくと、その建物は、どうも楕円形の建物が左右に分かれていて、二階部分でつながっているという構造らしい。
 左の楕円部分には2階の上に赤い尖塔が乗っていて――それはまさに乗っている、という表現でたてられていて、右の楕円部分は一階分しかない。その代わり、大きな大きな望遠鏡が空を目指していた。
 その建物にも、門に掲げてあったのと同じタペストリーが掛けられている。国が管理する建物なのかもしれない。
 左右の楕円形の建物をつなぐ部分は、ちょうどウカが来た道を塞ぐように横たわっているが、ちゃんと人通りを考えてアーチ状にくりぬいてあった。
 数人の冒険者たちが足早にウカを追い越していき、思い思いの場所へ向かうのを見て、ウカの足も自然と速くなった。
「ぅ            わぁ」
 なんなん、これ
 呟く言葉は声にならない。
 ――――――広かった。
 ウカの生まれ育った村がすっぽりと入ってしまいそう、というのは言い過ぎだろうか。
 ウカが出た場所は、少し高台になっているみたいで、まっすぐ前を向くと二階建ての、これまた楕円形の形をした建物が。右側には、同じように一階建ての楕円形の建物が見える。楕円形なのは、この国の――もしかしたら譲れない――基本的な構造なのかもしれない。それらが、遠くに。見える。
 ウカが清流を越えたと思っていたが、それは川ではなくて、湖だったのだと気付いた。湖の中に石で基礎を造り、建物を造り、人の生活する場所を作っていたのだ。堀は2重3重の構造を持ち、石造りの階段でつなげたり、木製の橋をかけたり。小さな建物だと木製の基礎の上に、木製の建物が建っている。
 どの建物の高さも低く、ウカの視界にこの国の広さを伝えているようだった。
(お母ちゃん、疑うてごめん)
 少なくとも、ウィンダスという国の広さに関しては。と付け足してウカは東の方を向いた。他はまだまだ疑う余地があると、ウカは思っている。空に空中庭園が浮かんでるだの、岩が中に浮いてるだの、そういうのはいくらなんでもあり得て欲しくない。
 東を向くと、一目でわかった。星の大樹と呼ばれる大きな樹。水の中や、土の上から大きく育った森の、それらを見下ろすように大きな大樹が生い茂っている。
 小さなタルタル達が、柔らかな声をあげて、走っていた。水路を渡る小さな橋があり、小さな建物があり。その奥。左手のその向こう。どれぐらいの距離かと計ることもできないほどの、大きな大きな、樹……。
(あれが、星の大樹)
 ウィンダスの、その中心……
「なんだ?」
 いきなり後ろから声をかけられて、ウカはあわてて振り返った。大きな、黒みがかった緑色のタマネギっぽいものが小さく左右に揺れてそこにいた。
「そんなところで足を止めるから なにか面白いものが見えるのかと思ったけど……。 なんだ、いつもの平和なウィンダスじゃないか」
 よくよく見ると、タルタルだ。青いフードの上にタマネギの形をしたその深緑色の帽子をかぶっていたのだ。
「……いや、 とても平和だとは言い切れないか……・」
 ウカがどう思っていようとも関係なさそうに、彼はかってに言葉を重ねる。そしてウカが視線を向けていた遙かな先を、彼も見て。
「あの大樹が枯れれば、この国は終わりだ。そろそろ、終わりの時が……」
 思慮深げに、鼻にかかる小さな丸めがねを押し上げたとき、明るい声が届いた。
「おにいちゃん!」
 兄と呼ばれて目の前のタルタルが振り返ったので、ウカもその方を見てみた。今度もかぶり物だ。兄とは違い、全体的に赤色に統一してあるのがかわいらしい。
「まーた、冒険者さんを困らせてるの!?」
 アプルル。と、彼が小さくつぶやくのが聞こえた。彼女の名前だろう。
「ごめんなさいね、冒険者さん! どこかへ行く途中だったんでしょ? それなのに、おにいちゃんが邪魔しちゃって……。」
「そんなことないだろ。どこへ行ったらいいか、途方にくれてるようだから、親切に話しかけてやったんだよ、なぁ?」
「それ、ほんと? あなた、もしかしてウィンダスは初めてなの?」
 アプルルの問いに、ウカは少し困る。確かに途方に暮れているように見えなくもなかったが、あれが親切かというと、少し違うような気がする。
でも、確かに初めての場所に、行く道を迷っていたのも確かだったので、ウカは小さく頷いた。
「なら、私がいろいろ教えてあげる。新しく住人になった人に親切にするのは、ウィンダスの一員たる者のギムですものね」
 彼女は兄を全体的に信用はしていないのだろう。ウカが小さく頷いたことでやっと合点が言ったように、今度は彼女のほうが熱心に身を乗り出してきた。
「それで、どんなことが知りたいの? なにかやりたいこととか、あるの? なんでもエンリョなく、聞いてね!」
 なんとなく、彼女の目がキラキラと輝いている。何を期待されているのか………それに、何が知りたいかと言われても、それも結構困る質問だ。大きなビジョンはあるけれど、彼女が質問を受け付けているのはそういう意味ではないだろうし。
(えーっと)
 困ったときは。
「ここはどこ? わたしはダレ?」
「ここは、タルタル。キミは、ウィンダス」
 ボケたつもりが、まともに返されてしまった。ウカのしっぽが切なげに地面すれすれで揺れる。
(これかっ おかあちゃんの言ってた「都会ってところはなぁ、恐ろしいところや。ぼけたら、自分でつっこまなあかんしなぁ……」って遠い目で言ってたんはっ!)
「もう! おにいちゃんは、黙っててったら!」
 ほんまに恐ろしいところや…… 小さくつぶやくウカの声は、この兄妹にも聞こえなかったみたいで、アプルルがすばやく兄を叱責する。
 この早さでつっこみが欲しかった。
「……ここは、ウィンダスの水の区。ウィンダスの4つの区の中でも歴史が古くて、昔からタルタルたちの生活の中心になっている区よ」
 兄の奇行を警戒しているのか、ゆっくりと兄から視線をウカへと戻しながら、アプルルはウカに申し訳なさそうに笑顔を向けた。
「ウィンダスには「院」と呼ばれる研究機関が5つあって、それぞれの院の院長たちがウィンダスを治める星の神子さまを支えているの」
 誇らしげに、アプルルは続ける。院があるとか、それが誇らしい事だとかはさほどウカには重要ではなかった。
(ほんっま、疑うてごめん……)
 この、どれぐらいの広さがあるのか計る事も出来ないこの区が、あと3つもあるのだ。
「ここ水の区には、その院が3つもあるの。 院では多くのタルタルたちが、いろいろな研究にあけくれてるわ」
 そして、ゆっくりと体ごと後ろを振り返る。ウカと向かい合っていたので、ちょうどウカの視線が誘導されて。ウィンダスの広さを教えるように。
「それと、タルタルたちが経営するお店にもここにはたくさんあるわ」
 宿屋、雑貨屋さん、帽子やさん……。
 一つ一つを数えあげて。
「調理ギルドやレストランもあって、一日ぐらいじゃとても、全部見てまわることなんてできないわ」
 アプルルが言った半分も、ウカの視界には入っていない。この「水の区」と呼ばれる区域だけで、どれほどの広さがあるのだろう。
「あと、忘れちゃいけないのがウィンダス居住区ね。石の区へ続く小道の先を右に曲がればウィンダス居住区の入り口につくわ」
 居住区。それは彼女の言う4つの区の中に入っているのだろうか?
 目を回すウカにはおかまいなしで、今度はウカから見て左手。星の大樹の元の方へと指を向けた。
「ウィンダス居住区には、あなたのアイテムを預かってくれる「モグハウス」があるのよ。詳しくは、入口にいるガードさんのお話を聞いてみてね」
 それから、またウカに向き直る。
「ええと? あと、他に、なにかあったかしら……?」
 聞いているくせに、ウカがなにかを言う前に彼女は察したようだった。
「……ん?「そういうあんたたちは、一体、だれ?」って?」
(――いや、なんも聞ぃてへんけど)
 とは、さすがに口にしない。
「ふふふ、私はアプルルよ。よろしくね♪」
「ちなみに僕はアジドマルジド。覚えておいてソンはないぞ」
「さってと。もしかしたら、他にも聞きたいことがいっぱいあるかもしれないけど……私たち、もう行かなきゃ」
 と、兄――アジドマルジドを促すように振り返る。そして、またウカの方へ視線を投げて。
「あとの質問は他の冒険者さんたちにきいてみてね。せっかく世界は広いんだから、いっぱい友達を作らなきゃ、ね!」
「フフン、友達ねぇ……。……一応、言っておくが、俺に友達ヅラするなよ」
 言って、アジドマルジドは西サルタバルタへ通じる小道の方へ走っていってしまった。アプルルが引き留めようとするが、頓着しない。
「あっ! おにいちゃん、ちょっと待ってよ〜」
 彼の行動にはなれてるのか、声をかけるがアプルルは気にせず懐からなにか紙切れを取り出した。追いかけるつもりはないのか、行く場所をすでに把握しているのか、急いてはいないみたいだ。
「そうだ、最後にこれをあげる。居住区前の広場にいるジャック・オブ・ハーツちゃんに渡してちょうだい」
 そう言って、取り出した紙切れをウカの手に握らせた。
「ジャックちゃんはいろいろ教えてくれる良い子ちゃんよ」
 ウカがしっかりと握りしめるのを見て、また笑顔を見せる。ようやっと兄の向かった方へと足を向けながら、
「じゃあね! またどこかで会いましょう、ピッカピカの冒険者さん♪」
 アプルルもまた、アジドマルジドを追って小道の方へと走っていった。
 アプルルの姿を最後まで目で追いかけて、
(親切な人やったなぁ…… なんや、すごい人やったけど)
 一度深呼吸をする。指をゆっくりと開いた。
 過ぎ去った後の静かさが、ウカの耳を凪ぐ。
 アプルルに手渡された紙切れには、冒険者優待券とかかれていた。




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