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 FFXI 小説化野望計画。


→ 仲間を常時募集してます!

→ パロディとしてお楽しみいただけます?

→ コンセプト上、ネタバレを多大に含みます。

→ 個人が私的に用いる場合以外の無断転写・複写はご遠慮ください。

→ FFXIに関する会社名・製品名・システム名などは、各社の登録商標、もしくは商標です。


以上をご理解のうえ、お楽しみくださいー<(_ _)>



始まりにはウィンダスを(1)

始まりにはウィンダスを(1)



 この思いを言葉にすることはとても難しかった。
 心という言葉では到底表すことのできないところから……それは、まるで物質を伴うかのように存在感のあるものが奥底からせり出すような、この感じ。
 見えるものではない。触れることの出来ないものではあるけれど、――のどに手を入れたならつかみ取れそうなほどの、この確かな感情。
「これを感動いうんやろか」
 踏みしめた大地の底から、頭の上のピンッと三角形にとんがった耳まで突き抜けるその塊ほどには、実感が伴わないまま、ウカは呟いた。
「感動なぁ」
 言葉にすれば、なんと陳腐なんだろう。けれど、たしかにこれは、感動という他、言葉にしようがなかった。
 ウカが立っているのは、西サルタバルタ。ミンダルシア大陸の南部に位置するウィンダス連邦のその入り口になる。
 かつて、女神アルタナがこぼした5粒の涙から生まれた人間。
 力や魔力は平凡なものの、知恵深く、技術に長けるヒューム。
 長身ですらりとした体躯を持ち、とがった耳を特徴とする剣技に長けたエルヴァーン。
 体は小さく子供のようにも見えるが、魔法を扱わせれば右に出る者のないタルタル。
 分厚い胸板に丸太のような腕、太いしっぽを持ち、強大な力を誇るガルカ。
 動物に似た耳と、優雅に動く長い尻尾を持った俊敏な動きが印象的なミスラ。
 そのヒュームの腰ぐらいまでの平均身長しかない小さい民、タルタルの国が、このウィンダス連邦になる。
 この国にウカの種族、ミスラが移住してきてから、どれほどか長い時が経って、今。ウカにとってもここは母国になる。
 元々のミスラ達の本国は遠い南方にあるが、それはただ本国という名前だけのものになっていた。頭には本国だ、という知識はあるが、このウィンダスにたどり着いた今ほどの感動を、たとえば本国に行けたとしても、ウカは持つことはないだろう。
 もともと部族単位で生活するミスラは、さほど、本国に思い入れはない。
 それよりも。思い出すのは、母の言葉だ。
 いつか、ウィンに帰ろな。
 小さいウカを膝にのせて、尻尾でパシパシ地面をたたきながら、母はいつも、懐かしそうに口にした。
 どういう理由であんな辺境でウカを生んだのか。母は決して教えてくれなかったが、それでも母にとって故郷とはウィンダス連邦で、それを暖かい腕の中で聞き続けたウカにとっても、ここが故郷になった。
 もちろん、故郷に帰る、とは口で言うのはたやすくても、実際にここに来ることは決して簡単なことではなかった。足を前後に、交互に動かせばいつかはたどり着ける場所ではあるけれど、この世界ヴァナ・ディールには人間の他に獣人と呼ばれる者がいる。
 人間という種族を駆逐し、ヴァナ・ディールの覇権をねらう獣人。
 そしてモンスター。
 戦う術を知らない人間にとっては、住み慣れた土地から移動することさえ、死を伴うこともある大変なこと。
 もし、ウカの育った土地に、冒険者が来なければ――冒険者がウカの生まれた場所に来るのは、本当に珍しいことだった――そして、ウィンダスまでの護衛を引き受けてもらわなければ、ウカがこの地に足を踏み入れることは出来なかっただろう。
 いくつもの幸運が重なって、ウカは初めてこの場所に立っている。
 門、というには、何かが違う気がするウィンダスへの入り口を、ウカは首が痛くなるほど見上げた。
 ぱっと見た目には岩……に見える。上の方には木々すら生い茂っていて、周囲を絶壁が囲む山の側面に、妙に違和感なく人工物が埋め込まれていた。それが、門だった。
 大きな石で汲み上げられたアーチは触れるとひんやりとしていた。アーチを支える左右の支柱には、ウィンダスの色である緑に縁取られた赤いタペストリーが風にたなびいている。そのタペストリーがなければ見のがしてしまいそうなほど、その人工物は、人工物なのに、周囲の自然にとけ込んでいた。
 タルタルの国への入り口なのに、門は大きい。
 20年前のクリスタル戦争の後に作り直されたものだからだろうか。その頃には、ミスラはここに住み着いていたはずだし。
「……っ」
 知らず触れた岩に爪を立てていたらしく、見た指先には小さな岩の欠片が入り込んでいる。
「うわぁ あほやなぁ」
 不安が過ぎた結果、すがりついた先が岩だというのは、なんだか滑稽だった。――手を払う。
 感動と、不安とで凍えそうになる体を、小さく丸めて、頭の先から尻尾の先まで水を振るかのようにふるわせて、シャッキと背を正した。
 一歩を踏み出して、暗い門を自分の足だけで抜けていく。手はもう門には触れない。
 一人は不安だ。初めての場所で、誰一人知らない人の中で。このもてあます感動と、せめぎ合う不安という感情。
 ――けれど、こんなにも自由だ。行くも、とどまるも、それはこの自分の足次第。
 そう思うと不安はとても小さくなった。足が弾むようでもある。
 その弾みたがる足をそのまま弾ませて、ウカは見えてきた小さな光へと走り出した。




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